電磁界解析ソフトウェアEMSolution

任意座標系でのポストデータ出力

概要

従来のEMSolutionでは,電磁界解析による結果をすべて直交座標系である全体座標系で出力しておりました。 しかし,対象機器によっては,例えば回転機では,磁束密度等のベクトル量を円筒座標系で出力した方が便利な場合があります。 この度,任意座標系でポストデータの出力が可能となりましたので報告します。

解説

Fig.1に示す,電気学会ベンチマークモデル“Dモデル”を用いて,本機能を紹介します。Dモデルは4極24スロットのIPMモータです。詳細は文献(1)をご参照ください。解析は二次元電流源解析とし,定格3Arms,電流進角$\beta$ 25deg,回転数1500$min^{-1}$で1.8Nmのトルクが出る条件で計算した結果について示します。 従来通りに解析し,ポストデータ出力時に本機能により円筒座標系で出力した磁束密度分布をFig.2に,電磁力密度分布をFig.3に示します。 ティース先端に電磁力は集中し,電磁加振力の原因となる径方向成分$F_r$とトルクとなる周方向成分$F_θ$を分離して見られることがわかります。 ここで,電磁力は節点力法により算出しており,表示しているデータは要素平均量($N/m^3$)です。

Fig.1 電気学会ベンチマークモデル
 Dモデル

(a) 径方向磁束密度成分$B_r$

(b) 周方向磁束密度成分$B_θ$

Fig.2 磁束密度分布 (T)

(a) 径方向電磁力密度成分$F_r$

(b) 周方向電磁力密度成分$F_θ$

Fig.3 電磁力密度分布 ($N/m^3$)

本機能を使用すると,outputファイルに出力されるベクトル量も任意座標系で出力されます。 Fig.4に,outputファイルに出力された電磁力の径方向成分$F_r$ ,周方向成分$F_θ$を示します。ここで,ステータとロータの電磁力は作用反作用により一致しますので,ステータの電磁力は符号を逆転して示しています。これより,径方向成分の電磁力が周方向成分に比べてかなり大きいことがわかります。周方向成分の電磁力にロータ径(正確にはギャップ中心までの距離)を掛けたものがトルクと一致することを確認しています。

Fig.4 電磁力波形

<追加機能 -局所座標系でのモーメント出力機能>

 2012/10にr10.4.1でリリースした本機能では,outputファイルに出力されるモーメントの軸は原点を通ることが前提となっていました。この度,局所座標系でモーメントを出力できるようにしました。なお,モーメント以外の物理量は,r10.4.1でも設定した座標系で出力できます。簡単な例として,Fig.5に検証モデルを示します。X方向1mの位置を中心とした半径0.1mの比透磁率1000の磁性体円柱があり,XY面内で一様磁界(UNIF)が50Hzで回転する静磁場解析を行います。相対運動として,一様磁化以下で円柱が回転すると考えても同じです。周方向は20度で周期境界条件を設定しています。

Fig.5 局座標系でのモーメント出力 検証モデル

原点での円筒座標系での磁性体円柱に働く径方向電磁力$F_r$と周方向電磁力$F_θ$とZ軸周りの電磁力モーメントはFig.6のようになります。径方向電磁力が大きく,常に正の力となっています。円筒中心はX=1mですが磁性体円柱は大きさを持っている(質点ではない)ため,$F_θ$とMzに差は見られますがどちらも正負に振動する力となっています。

Fig.6 原点での円筒座標系での電磁力とモーメント

次に,磁性体中心(X=1m)を中心とした円筒座標系での電磁力とモーメントをFig.7に示します。この場合$F_r$が支配的になり,磁性体中心周りに回転させようとする力$F_θ$はかなり小さくなります。円柱の半径は0.1mなので,Mzは$F_θ$のほぼ1/10となっています。原点周りのモーメントよりは小さいですが,円柱中心周りのモーメントも働いていることがこの分析によってわかります。

(a) $F_r$、$F_θ$、Mz

(b) $F_θ$、Mz

Fig.7 円筒座標系での電磁力とモーメント

なお,磁束密度と電磁力だけでなく,渦電流密度やローレンツ力も円筒座標系で出力することができます。outputファイル中の電磁力とローレンツ力も指定した座標系で出力されます。

この先は会員の方のみご覧いただけます。

既存ユーザのログイン