電磁界解析ソフトウェアEMSolution

EMSolutionの基礎4-6
運動の取り扱い

 EMSolutionではEMSolutionの基礎2で述べた、3方法の運動の取り扱いをしています。
 
 一つ目は、2ポテンシャル法を利用したもので、この場合は、磁場・電流源をメッシュと独立に動かすことができます。ただ、ソース磁場がビオ・サバール則により求められる必要があり、磁性体や導体が電流源と一緒に動く場合は適用できません。
 
 二つ目はスライド法によるものです。この方法ににおいては、規則的に分割された滑り面を設定し、固定部と可動部のポテンシャルを接続します。各ステップにおいては、スライド面と有限要素メッシュの位置関係が変わり、要素間のコネクションが変わりますので、全体マトリックスのコネクションが変更されます。ただ、有限要素メッシュの再分割は必要なく、その変更は高速に行えます。スライド面では、形状関数レベルでは要素は適合していないため、スライド面に接する要素分割はある程度制限があります。しかし、実用的には便利な手法であり、有効なものです。
 
 三つ目は、可動部の周辺の空気部のメッシュを時間的に変形するものです。両端の二つのメッシュを用意し、各時刻の節点位置を内そうにより求めています。この場合、全体マトリックスのコネクションの時間的な変更はありませんが、要素の形状が変化しますので、要素行列が変化し、全体マトリックスの更新が必要となります。この手法の問題点は、移動時の要素の変形量が大きくなってしまうことです。固定部との間隔が小さくなるところまで動く場合等は、適用が難しくなります。しかし,要素を再作成することなく解析できるため,特に三次元解析では変形部のメッシュを作成しなおす方法に比べ,高速に計算できると思われます。
 
 以上の方法は、基本的にはメッシュ再分割は必要のないものです。そのための計算時間はほとんどありませんので高速性には優れているのですが、ただ、現時点ではいずれの方法も適用限界があるため,今後改良する必要があると考えています。