電磁界解析ソフトウェアEMSolution

ピラミッド(四角錐)要素を用いた
二次元軸対称問題の計算

概要

EMSolution ver8.6より、ピラミッド(四角錐、五面体)要素を加え、軸に1点で接する要素の制限を無くしました。ここでは簡単な計算例を示します。
また,軸対称要素に対しての問題点についても記載します。

解説

EMSolutionでは、二次元解析において、二次元メッシュを三次元メッシュに拡張して解析を行います。このため、二次元軸対称問題において、軸に1点で接する要素は拡張しますと四角錐になり、従来このような要素は定義しないように御願いしてきました。ピラミッド(四角錐、五面体)要素を加え、この制限を無くしました。ここでは簡単な計算例を示します。
Fig.1およびFig.2に解析メッシュを示します。領域は全て三角形で分割されており、軸に1点で接する三角形を含んでいます。従来では、軸に接するところは、四角形にする必要がありました。このモデルは円柱を模擬したものです。それに、一様な磁場が加わった時の静磁場を求めます。Fig.1およびFig.2には磁束密度分布を示しています。また、Fig.3には磁束先分布を表示しています。
良く磁場分布を見ますと、中心軸近くで磁場が乱れていることがわかります。例えば、Fig.2で磁場強度が径方向に振動しています。また、Fig.4,Fig.5に磁場強度分布を示しますが、特に、節点データを元にプロットした場合、軸から一層離れたところで強度が高くなっています。もちろん、これは数値計算誤差ですが、ピラミッド要素によるものではありません。四角形要素でも同様に見られます。このような誤差は古くから知られています。ゆがんだ三角柱や六面体の線形辺要素では、一様な磁場を表現できないためこのような結果になります。特に、形状関数を内そうして磁場を求めたとき、要素の端で磁場精度が落ちます。このため、Fig.5の様なことが起こります。要素中心では比較的精度が良く、Fig.4の要素データを用いた場合は、かなり妥当な分布をしています。この、中心軸付近の問題を解決するためには、要素形状関数を変更する必要があると思われます。軸対称要素に対しては、改良することが可能と思われ、今後検討して行きたいと考えます。
ピラミッド要素は、一般の多くのプレポストプロセッサでサービスしておりません。そこで、入出力は、三角柱の上下の2点が同じ節点番号を持つ要素として入出力することにしました。ただ、例えばFEMAPでは、このような要素を作ることは出来ません。このため、現状、ピラミッド要素の使用は限られております。将来的には、六面体と四面体を結合する時に有用だと思われ、今後皆様に使用できるように改良して行きたいと考えております。

Fig.1 解析メッシュと磁場分布

Fig.2 解析メッシュ磁場分布(拡大)

Fig.3 磁束線分布

Fig.4 磁束密度強度分布
(要素データ)

Fig.5 磁束密度強度分布
(節点データ)

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