materialタグ

[2021/10/06更新]

物性データを定義します.
互換性のため,EMSolutionの.ems入力ファイルと同じフォーマットを採用しております.
要素形状に応じて,下記に示す第2タグを使って,項目を設定します.
materialタグの第2タグ

第2タグ

説明

solid第2タグ

ソリッド要素に関する物性データ

plate第2タグ

プレート型特殊要素に関する物性データ

thinelement第2タグ

扁平要素の補正処理に関するデータ

solid第2タグ

ソリッド要素に関する物性データを定義します.
EMSolutionは二次元解析を三次元解析に拡張して計算するので,二次元解析のプレート要素に関する物性データも,こちらで定義します.
各物性毎に,下記の物性データの設定項目を入力します.
基本的に,該当しない場合は0を設定して下さい.
(BHカーブが該当しない場合は0など)
solid第2タグの設定項目

既定値

説明

項目

1

1

物性データの番号

MAT_ID

1

2

物性が存在する領域の種類
0: トータルポテンシャル領域
≧ 1: 変形ポテンシャル領域

POTENTIAL

1

3

BHカーブの番号

BH_CURVE_ID

1

4

導電率

SIGMA

1

5

比透磁率

MU

1

6

1

積層鉄心の占有率

PACKING

1

7

0

特殊な物性データのタイプ
1: 三方向BHカーブ,複素透磁率(AC解析時)
2: 温度依存BHカーブ
3: 非線形二次元異方性
4: Jiles&Athertonモデル
5: Playモデル

ANISOTROPY

1

8

0

積層鉄心の鉄損の算出の有無
1: 積層鉄心の鉄損を算出
2: 各座標軸方向の積層鉄心の鉄損成分を算出

IRON_LOSS

1

8

0

温度に依存する導電率カーブの使用の有無
> 0: 温度依存する導電率カーブ番号
moduleタグ のTEMP_DEPENDが1の必要あり)

SIGMA_DEPEND_ID

等方性の場合は,5列目までのデータを入力して下さい.
(残りの既定値で等方性と見なされる)
IRON_LOSSの値を設定した場合は,積層鉄心の鉄損算出に必要な下記のデータを
追加で設定して下さい.
IRON_LOSS設定の追加データ

IRON_LOSSの値

追加で設定するデータ

1

IRON_LOSS項目が1の時の設定項目

2

IRON_LOSS項目が2の時の設定項目

使用例(等方性のケース)

material:
  solid:
    100 0 0 0 1000 # 線形比透磁率 1000
    110 0 0 5e6  1 # 導電率 5e6の非磁性
    120 0 1 0    1 # BHカーブID=1の等方性非線形
異方性の場合は,下記に示す種類によって,ANISOTROPYなどの値を設定することになります.
異方性材料の設定項目

ANISOTROPY

異方性種類

その他の設定

0

線形異方性

導電率(SIGMA)もしくは比透磁率(MU)の値が負

0

非線形の積層鉄心

BHカーブIDが正なおかつ占有率(PACKING)が1未満

1

三方向BHカーブ

1

複素透磁率のケース

moduleタグのACが2

2

温度依存BHカーブ

moduleタグのTEMP_DEPENDが1

3

非線形二次元異方性

4

Jiles&Athertonモデル

5

Playモデル

線形異方性

各成分毎に異なる(線形)異方性の導電率(SIGMA)もしくは比透磁率(MU)を設定します.
導電率(SIGMA)もしくは比透磁率(MU)には負となる値を入力します.
さらに,下記に示す局所座標系IDと,各方向成分の係数を設定します.
線形異方性の設定項目

既定値

説明

項目

2

1

局所座標系ID

COORD_ID

2

2

x軸方向成分の係数

FX

2

3

y軸方向成分の係数

FY

2

4

z軸方向成分の係数

FZ

注釈

仮に導電率と比透磁率の両方とも異方性の場合,上記の2行を連続で入力します.
その場合,2行目は導電率,3行目は比透磁率の異方性となります.

使用例 (比透磁率が100,500,500の場合)

material:
  solid:
    100 0 0 0 -1000 # 比透磁率 1000
    0 1 0.5 0.5     # x~z軸方向成分の係数

非線形の積層鉄心

BHカーブの番号(BH_CURVE_ID)と占有率(PACKING)の両方を設定します.
さらに,下記に示す局所座標系IDと,各方向成分の係数を設定します.
非線形積層鉄心設定項目

既定値

説明

項目

2

1

局所座標系ID

COORD_ID

2

2

積層方向のx軸方向成分

DX

2

3

積層方向のy軸方向成分

DY

2

4

積層方向のz軸方向成分

DZ

使用例 (z軸方向が積層方向の占有率75[%]の積層鉄心の場合)

material:
  solid:
    100 0 1 0 1000 0.75 # BHカーブIDが1,占有率が75%
    0 0 0 1             # 積層方向はz

三方向BHカーブ

各成分毎に異なるBHカーブを設定します.
ANISOTROPY設定項目に1を設定します.
線形の成分は,該当するBHカーブIDに0を設定し,線形比透磁率も設定します.
三方向BHカーブ設定項目

既定値

説明

項目

2

1

局所座標系ID

COORD_ID

2

2

x軸方向成分のBHカーブID

B_H_X

2

3

y軸方向成分のBHカーブID

B_H_Y

2

4

z軸方向成分のBHカーブID

B_H_Z

2

5

x軸方向成分の比透磁率

MU_X

2

6

y軸方向成分の比透磁率

MU_Y

2

7

z軸方向成分の比透磁率

MU_Z

使用例 (三方向全てにBHカーブを設定する場合)

material:
  solid:
    100 0 0 0 0 1 1        # ANISOTROPY(1): 三方向BHカーブ
    0 1 2 3 1000 1000 1000 # x~z軸方向のBHカーブIDは1, 2, 3

複素透磁率のケース

交流定常解析で,複素透磁率(実数部および虚数部)を設定します.
moduleタグ のACが2の必要あり.
ANISOTROPY設定項目に1を設定します.
複素透磁率設定項目

既定値

説明

項目

2

1

実数部

MU_Re

2

2

虚数部

MU_Im

使用例

material:
  solid:
    100 0 0 0 0 1 1 # ANISOTROPY(1): 複素透磁率
    1000 500        # 1000 + j500

温度依存BHカーブ

温度に依存するBHカーブを使った非線形解析を行う場合に設定します.
moduleタグ のTEMP_DEPENDが1の必要あり.
ANISOTROPY設定項目に2を設定します.
BH_CURVE_ID設定項目に,bhタグ のtempdepcurve第2タグで定義した温度に依存したBHカーブのデータの中の,該当するBHカーブ番号を設定します.

使用例

material:
  solid:
    100 0 1 0 1000 1 2 # ANISOTROPY(2): 温度依存BHカーブ

非線形二次元異方性

非線形二次元異方性BHカーブを用いた磁気異方性を設定します.
ANISOTROPY設定項目に3を設定します.
非線形二次元異方性設定項目

既定値

説明

項目

2

1

局所座標系ID

COORD_ID

2

2

二次元異方性BHカーブID

B_H_XY

2

3

z軸方向成分のBHカーブID

B_H_Z

2

4

0

z軸方向成分の比透磁率

MU_Z

使用例

material:
  solid:
    100 0 0 0 0 1 3 # ANISOTROPY(3): 非線形二次元異方性
    0 1 2 1000      # 二次元異方性BHカーブIDは1, z軸方向成分のBHカーブIDは2

Jiles&Athertonモデル

Jiles&Athertonモデルを用いた磁気異方性を設定します.
ANISOTROPY設定項目に4を設定します.
Jiles&Athertonモデル設定項目

既定値

説明

項目

2

1

局所座標系ID

COORD_ID

2

2

z軸方向の比透磁率

MU_Z

2

3

磁束密度計算幅

DB_CAL

2

4

0

未使用

PLAY_ID

2

5

0

未使用

DB_FACTOR

2

6

0

未使用

MATERIAL

2

7

0

未使用

B_MIN_LOSS_CORRECTION

3

1

x軸方向の飽和磁化

MS

3

2

x軸方向の保磁力

K

3

3

x軸方向の重み係数

C

3

4

x軸方向のAnhysteretic形状係数

A

3

5

x軸方向の結合係数

ALPHA

4

1

y軸方向の飽和磁化

MS

4

2

y軸方向の保磁力

K

4

3

y軸方向の重み係数

C

4

4

y軸方向のAnhysteretic形状係数

A

4

5

y軸方向の結合係数

ALPHA

使用例

material:
  solid:
    100 0 0 0 0 1 4 # ANISOTROPY(4): Jiles-Athertonモデル
    0 1 0.001
    1.39e6 77.51 0.19222  84.96 218.22e-6 # x軸方向の設定
    1.40e6 72.14 0.13334 144.56 206.66e-6 # y軸方向の設定

Playモデル

Playモデルを用いた磁気異方性を設定します.
ANISOTROPY設定項目に5を設定します.
Playモデル設定項目

既定値

説明

項目

2

1

局所座標系ID

COORD_ID

2

2

z軸方向の比透磁率

MU_Z

2

3

磁束密度計算幅

DB_CAL

2

4

プレイモデルID

PLAY_ID

2

5

0

DB_CALの加速係数

DB_FACTOR

2

6

0

未使用

MATERIAL

2

7

0

回転ヒステリシス損の補正を行う磁束密度の下限

B_MIN_LOSS_CORRECTION

使用例

material:
  solid:
    100 0 0 0 0 1 5  # ANISOTROPY(5): Playモデル
    0 1 0.001 1 1.0

鉄損算出に必要な設定項目

物性の鉄損を算出する際に必要な項目を設定します.
IRON_LOSS項目の値によって設定項目が異なります.
IRON_LOSS項目が1の時の設定項目

既定値

説明

項目

i

1

局所座標系ID

COORD_ID

i

2

積層鉄心の密度

MASS_DENSITY

i

3

渦電流損失係数

KE

i

4

ヒステリシス損失係数

KH


IRON_LOSS項目が2の時の設定項目

既定値

説明

項目

i

1

局所座標系ID

COORD_ID

i

2

積層鉄心の密度

MASS_DENSITY

i

3

x軸方向の渦電流損失係数

KE(X)

i

4

x軸方向のヒステリシス損失係数

KH(X)

i

5

y軸方向の渦電流損失係数

KE(Y)

i

6

y軸方向のヒステリシス損失係数

KH(Y)

i

7

z軸方向のヒステリシス損失係数

KH(Z)

plate第2タグ

プレート型特殊要素(表面インピーダンス要素, ギャップ要素, 非磁性薄板要素)に関する物性データを定義します.
二次元解析におけるプレート要素に関する物性データの定義ではありません.
物性データの種類(TYPE)によって,4列目に設定する値が異なります
plate第2タグの設定項目

既定値

説明

項目

1

1

物性データの番号

SMAT_ID

1

2

物性データの種類
1: 表面インピーダンス要素
2: ギャップ要素
3: 非磁性薄板要素

TYPE

1

2

導電率

SIGMA

1

3

比透磁率

MU

1

4

(TYPE=1の時)
表面インピーダンスの種類
0: 線形
1: 非線形,磁場が正弦的
2: 非線形, 電場が正弦的
3: 線形と,非線形,磁場が正弦的の混在
4: 線形と,非線形,電場が正弦的の混在

IMP_TYPE

1

4

(TYPE=2,3の時)
ギャップ要素/非磁性薄板要素の厚さ

THICK

非線形表面インピーダンス要素(TYPE=1かつIMP_TYPE = 1,2,3,4の場合)
異方性非磁性薄板要素(TYPE=3かつSIGMA < 0の場合)
の場合は,それぞれ,下記に示すデータを2行目として追加します.
TYPE=1かつIMP_TYPE=1,2,3,4の時の追加行

既定値

説明

項目

2

1

BHカーブID

B_H_CURVE

2

2

Agarwal係数

AGARWAL

2

3

k値

K

2

4

BHカーブの屈曲点の磁場強度

HK


TYPE=3かつSIGMA<0の追加行

既定値

説明

項目

2

1

局所座標系ID

COORD_ID

2

2

x軸方向成分の係数

FX

2

3

y軸方向成分の係数

FY

2

4

z軸方向成分の係数

FZ

使用例(厚さ1[mm]のギャップ要素)

material:
  plate:
    500 2 0 1 1e-3 # TYPE(2): ギャップ要素

thinelement第2タグ

物性データに関する設定ではありません.
扁平要素のあるメッシュの計算の収束性改善の機能を使う場合(enhancementタグ のTHIN_ELEMENTラベルが1)時に必要となる設定項目です.
thinelement第2タグの設定項目

既定値

説明

項目

1

1

扁平度の判定値(アスペクト比)

THIN_CRITERION

2

判定を行う要素群の物性番号群

MAT_IDS

2行目には,扁平度の判定を行う要素群の物性番号群を配列として記載して下さい.

使用例(物性番号10,11の要素群でアスペクト比0.01以下の要素群に収束性改善の処理を行う)

material:
  thinelement:
    0.01
    10 11