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鎖交磁束計算ループの面要素入力  

 September 16, 2011

1  従来EMSolutionでは, 任意閉曲線ループの鎖交磁束を出力する機能があり,閉曲線は節点番号で入力した節点を繋いだループ,もしくは線要素によるループで定義する必要がありました。しかし,これらは三次元解析時のみ定義可能で,二次元解析では定義できませんでした。この度,任意閉曲線を面要素にて定義することが可能となりましたので報告します。この機能は任意面を鎖交する磁束に限らず,面要素毎に磁束密度の法線成分(面を鎖交する磁束/面積)を出力できるようにもしました。 Fig.1に示す,EMSolutionベンチマークテストで採用しているTEAM Workshop Problem20のプランジャーモデルを使用し,本機能を紹介します。磁極にコイルが巻かれ,コイルはCOILで定義されています。解析は静磁場解析とし,コイルには1,000,3,000,4,500,5,000Aの電流が印加されます。評価面は磁極中心断面であるFig.1(b)に赤線で示す箇所とします。閉曲線ループと面は同じ場所に定義し,閉曲線ループの方向と面要素の方向を合わせています。なお,閉曲線ループは計算ループ毎に線要素方向が全て同じ向き,面要素も面方向が全て同じ方向である必要があります。節点番号入力の場合は,入力節点番号の順番が線要素を構成する節点の順番,つまり閉曲線を構成する必要があります。本モデルはX=0,Y=0が対称面(Bn=0)とした1/4モデルですので,X=0面,Y=0面上は線要素を定義する必要はございません。節点番号入力の場合も同様となりますが,定義しても結果は同じとなります。

(a) 全体図(空気領域を除く) (b) 鎖交磁束ループ (c) 閉曲線ループおよび面
Fig.1 ギャップモデル

節点番号入力,線要素入力,面要素入力の鎖交磁束結果をTable 1に示します。この時,outputファイルに出力される鎖交磁束は,メッシュ定義領域のみとなりますので,実際にはLoop1は4倍,Loop2は2倍となります。また,面要素入力は鎖交磁束を面要素の全面積で割算した平均磁束密度も出力しますので,それも合わせて示します。全ての結果が一致していることが確認できます。平均磁束密度を見ると,印加電流4,500AでLoop1は2Tに達し,飽和していることがわかります。外部電流磁場ソース(COIL)におけるインダクタンスの取り扱いにありますように,コイル鎖交磁束と比較すると,4,500A印加時の場合,4.42233e-004/(1.25318e-004*4)=88.22%と,コイル鎖交磁束のうちの約88%が鉄心中を通り,他は漏れていることも確認できます。
また,Fig.2に,印加電流4,500A時の,面要素における磁束密度の法線成分(Bn成分)を示します。縦軸が磁束密度を表し,定義面よりBn=Bzとなります。Loop1では,ほぼ2Tとなっており,X=0面にわずかですが寄っていることがわかります。Loop2ではY=0面に寄っていますが,Loop1同様,ほぼ同じ値になっています。

Table.1 鎖交磁束結果(計算領域)


節点番号入力 線要素入力 面要素入力
鎖交磁束(Wb) 平均磁束密度(T)
1000A Loop1 4.42284E-05 4.42284E-05 4.42284E-05 7.07654E-01
Loop2 -4.16667E-05 -4.16667E-05 -4.16667E-05 -1.33333E-01
3000A Loop1 1.11718E-04 1.11718E-04 1.11718E-04 1.78749E+00
Loop2 -1.12385E-04 -1.12385E-04 -1.12385E-04 -3.59632E-01
4500A Loop1 1.25318E-04 1.25318E-04 1.25318E-04 2.00510E+00
Loop2 -1.37195E-04 -1.37195E-04 -1.37195E-04 -4.39023E-01
5000A Loop1 1.28069E-04 1.28069E-04 1.28069E-04 2.04910E+00
Loop2 -1.43926E-04 -1.43926E-04 -1.43926E-04 -4.60565E-01

(a) Loop1 (b) Loop2

Fig.2 鎖交磁束面における磁束密度(T)

次に,二次元メッシュを用いて鎖交磁束面を定義してみます。時間周期問題の定常解への高速収束でも使用した,IPM モータモデルに適用します(Fig.3)。ここでは簡単のため二次元モデルでの電流源解析とし,最大トルク運転条件とします。EMSolutionでの二次元解析でも説明がありますように,XY平面で作成した二次元メッシュで解析を行う場合,EMSolution内部でZ軸方向に一層拡張した三次元メッシュとして三次元解析が行われます。そのため,スライド面に線要素を定義すれば,内部で一層拡張して面要素として扱われますので,先に示した鎖交磁束の面要素入力を使用すれば,定義面の磁束密度の法線成分である,ギャップ磁束密度の径方向成分(R成分)を算出できます。本計算では確認のため,ステータ側とロータ側両方に線要素を定義しています。なお,ギャップに面出力用線要素を定義した場合,ロータの角度によってステータ側,ロータ側定義面の鎖交磁束と平均磁束密度は異なってきますので,意味を持たないと思われますが,面要素の法線成分であるギャップ磁束密度は回転機設計の重要なパラメータであることから,こちらを出力することを目的とします。

Fig.3 IPMモータ二次元モデル

Fig.4に,ロータ角度-35度(d 軸方向)での静磁場解析結果によるロータとステータのR方向の磁束密度を示します。ロータ側は-35度分移動させ,二極分として示しています。これより,ステータ側とロータ側で良い一致を示していることが確認できます。この方法で過渡解析でも同様に出力することが可能です。

Fig.4 ギャップ磁束密度の法線成分(T)

これらより,三次元解析では,これまでの入力方法である節点番号入力,線要素入力と同様に,面要素入力でも鎖交磁束と平均磁束密度,加えて定義面の磁束密度の法線成分を出力することができることを示せたと思います。さらに二次元解析でも定義面の法線方向の磁束密度を算出できることが示せたと思います。これらはポストデータよりポスト処理ソフトウェアを使用しても算出することはできると思いますが,それよりは簡便に得られるますので,ご使用いただければと思います。

<使用法>
鎖交磁束計算ループは,「Handbook 11.2鎖交磁束計算ループ」にもありますように,プリント出力のMAG_FLUX(11.1)=1:On とし,下記カラムを設定します。
NO_LOOPS:定義ループ数,READ_OPTION:入力方法で,READ_OPTION=0:節点番号入力,=1:線要素入力,=2:面要素入力 となっています。
* Q_AVERAGE * HEAT * MAG_FLUX * CUR_FLUX *
0 0 1 0
・・・・・・
*  NO_LOOPS  * READ_OPTION *
2 0 or 1 or 2


①READ_OPTION=0:節点番号入力
節点番号を閉曲線ループを描く順番で定義していきます。
* NO_LOOPS * READ_OPTION *




2 0





* NO_NODES *






15






* NODE_IDS *






  22733 22771 22809 22847 22885 22923 22961 22960 22959 22958 22957
  22956 22955 22954 22953
* NO_NODES *
33
* NODE_IDS *
  22754 22795 22830 22868 22906 22944 22982 23020 23058 23096 23134 
  23172 23210 23209 23208 23207 23206 23205 23204 23203 23202 23164 
  23126 23088 23050 23012 22974 22936 22898 22860 22822 22784 22746


②READ_OPTION=1:線要素入力
線要素で定義したプロパティ番号を定義します。
*   NO_LOOPS   * READ_OPTION  *
2 1
* LINE_MAT_IDS *
51
* LINE_MAT_IDS *
52


③READ_OPTION=2:面要素入力
面要素で定義したプロパティ番号を定義します。
* NO_LOOPS *  READ_OPTION  *
2 2
*  MAT_IDS   *
61
*  MAT_IDS   *
62


面要素入力の場合,outputファイルに鎖交磁束「Magnetic flux (Wb)」に加えて,平均磁束密度「Average of B on surface (T)」が出力されます。また,新たに作成されたfluxファイルに定義面の磁束密度の法線成分が出力されます。これはメッシュに依存するデータですので,「flux」ファイルに固定フォーマットで出力されます。
Time = 1.00000e+000
NoLoop No X(m) Y(m) Z(m) B_nomal(T)
61 41561 1.35734e-003 6.26470e-004 7.50000e-002 7.04245e-001
61 41562 3.84580e-003 6.26470e-004 7.50000e-002 7.05084e-001
61 41563 5.91952e-003 6.26470e-004 7.50000e-002 7.06395e-001
・・・・・・


冒頭がTime:時刻,NO.Loop:定義面プロパティ番号,No:要素番号,X,Y,Z(m):面要素中心座標,B_normal(T):磁束密度法線成分となっています。ロータ側(rotor_mesh(2D))に定義した場合でも,要素中心座標はメッシュ作成時の座標として出力しますので,運動距離に応じて移動させてください。
なお,この機能はPOST_PROCESSING時に行われるもので,計算内容に依らず使用可能です。一度計算した後に出力させたい場合は,節点番号入力は適宜設定し,線要素入力,面要素入力はpre_geom(2D)メッシュ内に節点番号が変わらないように線要素や面要素を定義し,再計算時にPRE_PROCESSIONG=1,MAKING_MATRICES=SOLVING_EQUATION=0,POST_PROCESSING=1とすることで出力することが可能です。
<使用データ>
Problem20 モデル

input_nodes.ems :節点番号入力

input_lines.ems :線要素入力

input_surfaces.ems :面要素入力

pre_geom.neu :メッシュデータ
IPM モータモデル

input2D_40_5_static.ems :静磁場解

pre_geom2D.neu :ステータ

rotor_mesh2D.neu :ロータ


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