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節点二次辺一次要素   

March 2, 2004

EMSolutionにおきましては、一次(節点一次辺一次)要素を主として提供してきました。六面体要素に対しては二次(節点二次辺二次)要素も提 供してきました。一次要素の問題点として、特にアスペクト比の大きい扁平な四面体を使用したとき、渦電流解析で誤差が大きくなることが指摘されています。解析された電流密度ベクトルが不規則あるいは波打って空間的に分布する場合があります。極端な 場合には、全く妥当でなく渦電流発熱がおかしくなる場合が有ります。同様なことは、三角柱要素やピラミッド要素を使用した場合にも起こります。
例えば、Fig.1ような直方体にz方向に一様な交流定常磁場が印可された場合を考えます。直方体は一辺1m5×107S/mとします。また、磁場は10Hzで1Tとします。直方体一次要素で計算しますと、Fig.1の様な妥当な渦電流密度分布を得ることができます。ところが、四面体に分割し一次要素で計算しますと、結果はFig.2、3、4の様に、電流密度ベクトルが波打ったものになります。


Fig.1 電流密度ベクトル図(一次六面体要素)

Fig.2 電流密度ベクトル図(一次四面体要素)


Fig.3 電流密度ベクトル図詳細(一次四面体要素)

Fig.4 電流密度ベクトル図上部からの詳細(一次四面体要素)

EMSolutionでは、この問題を改善すべく、全要素(六面体、四面体、三角柱、ピラミッド)要素に対し、節点二次辺一次要素を導入し、使用可能としました。本要素は磁気ベクトルポテンシャルに対する辺形状関数空間は従来の一次要素と同じものですが、電気スカラポテンシャルに対する辺形状関数空間の自由度を大きくします。導体領域の要素に対し、辺中点に節点を設け、それに節点形状関数を付加します。
前の四面体と同じ分割で、節点二次辺一次四面体要素で計算した結果をFig.5、6に示します。見たところ、六面体で計算した場合と同様な滑らかな分布が得られています。



Fig.5 電流密度ベクトル図 詳細(節点二次辺一次四面体要素)


Fig.6 電流密度ベクトル図 上部からの詳細(節点二次辺一次四面体要素)

以下では、渦電流発熱計算の観点から、メッシュに対する解の収束性を示します。テスト問題として、上で述べたものと同じものを使います。表面を細かく分割するために各方向に等比分割しています。四面体等への分割は直方体分割を基本とし、Fig.8のように直方体をいくつかの要素に分割します。それぞれ一つの直方体に対して(a)四面体5要素、(b)四面体6要素、(c)三角柱2要素、(d)ピラミッド2要素、四面体2要素に分割されます。最大メッシュ幅の最小メッシュ幅の比を20とします。要素のアスペクト比もこの値20となります。


Fig.7 解析モデル

Fig.8 直方体の分割

種々の要素で解析した場合の、メッシュ幅と平均ジュール発熱量の関係をFig.9に示します。横軸に最小メッシュ幅(h)に対するスキン厚さ(d)の比をとります。各線の名前は要素種、節点次数、辺次数を示します。TetraA、TetraB、Prism、PyramidはそれぞれFig.8の分割(a)、(b)、(c)、(d)に寄るものを示します。
例えばHexa11は一次(節点一次辺一次)要素を表します。まず、全ての要素種で メッシュを細分してゆくにつれて同じ値428kWに 収束していることが解ります。しかし、収束の仕方は大きく異なっています。まず、六面体要素では、一次要素と節点二次辺一次はほとんど同じ収束性を示しています。四面体、三角柱およびピラミッド要素の場合は、一次要素と節点二次辺一次要素の収束は大きく異なり、一次要素の収束は非常に悪く、誤差も大きいものとなっています。h/dが0.3程度からやっと収束し出します。それに較べ、節点二次辺一次要素では、誤差の大きさは要素種に異なりますが、直線的に解に収束しています。


Fig.9 メッシュ幅に対する平均ジュール発熱量

縦軸を引き延ばしたものをFig.10に示します。六面体一次要素では四面体等の要素より誤差は小さくなっています。三角柱 要素の誤差が高くなっています。四面体への分割の仕方ではあまり差が見られません。この図で、六面体二次要素の精度が非常に良いことが解ります。h/dが1程度でも良い精度で計算されており、メッシュを細かくしていってもほとんど値が変わりません。ただし、六面体二次要素は必要計算容量が大きく、計算時間も大きいものです。
Fig.11にEMSolutionの計算時間(Pentium 4、2.53GHz)を横軸にとったものを示します。1000秒くらいの解析をしますと、どの要素種でも1%以内の精度が得られそうです。ただし、四面体等では節点二次辺一次要素を使うことが必要です。


Fig.10 メッシュ幅に対する平均ジュール発熱量(詳細)


Fig.11 計算時間(Pentium4、2.53GHz)に対する平均ジュール発熱量

本検討の結果、次のようにまとめられます。

  1. 六面体要素の精度が良く、特に二次要素では荒いメッシュでも良い精度が得られます。また、節点二次辺一次要素の精度は一次要素の精度とほとんど変わらず、節点二次辺一次要素を使用する必要がありません。ただし、本検討では直方体の解析を行っており、六面体がよく適合していると思われ、他の形状や歪んだ六面体が有るような場合には注意を要すると思われます。

  2. スキン効果のある渦電流解析では、六面体以外の要素に対して、節点二次辺一次要素の使用が望まれます。

本節点二次辺一次要素は、EMSolution r9.7.3より使用可能です。六面体、三角柱、四面体、ピラ ミッドの各節点二次辺一次要素の混合も可能です。ただし、面要素への拡張がされておりませんので、導体中にギャップ要素等が有る場合には使用できません。また、二次元解析への拡張も行われておりません。今後、これらへの拡張を進めてゆきたいと考えております。


*使用法*
  1. 2.ポテンシャルとゲージ条件のPOTENNTIAL=2とし、A-f法を使用してください。節点二次辺二次要素では電気スカラポテンシャルを拡張しますので、A法では効力がありません。また、静磁場解析では適用されません。

  2. 従来の4.形状関数の次数 ORDER_OF_SHAPE_FUNCTIONSをNODE_ORDERとEDGE_ORDERに分けました。 NODE_ORDER=2、EDGE_ORDER=1とすれば、節点二次辺一次要素の計算となります。メッシュファイルpre_geomの要素が導体部に対して、一次要素でも二次要素に内部で変換されます。post_geom等ポストデータは二次要素出力となります。従来のORDER_OF_SHAPE_FUNCTIONS=1 はNODE_ORDER=1、EDGE_ORDER=1と解釈され、一次要素の解析となります。従来のORDER_OF_SHAPE_FUNCTIONS=2 はNODE_ORDER=2、EDGE_ORDER=1と解釈されます。NODE_ORDER=2、EDGE_ORDER=2の解析は入力要素が二次六面体の場合にのみ使用でき ます。

  3. 検討の直方体メッシュは、15.直方体メッシュ自動生成で生成されます。入力は以下の例(四面体B分割)のようになります。ここで、
    ELEMENT_TYPE:=0:六面体、 =1:三角柱、=2:四面体、=3:ピラミッド+四面体
    DIVISION_TYPE: =0:分割A、=1:分割B(ELEMENT_TYPE=2の時適用)
    RATIO_TYPE:=0:分割比入力、=1:最初と最後のメッシュ幅比の入力(分割数に負を入力したものに対して)

    * ELEMENT_TYPE * DIVISION_TYPE * RATIO_TYPE * 
    211 
    * X_AIR_LOWER * X_MAT_LOWER * X_MAT_UPPER * X_AIR_UPPER *
    0.0 0.0 0.5 1.0
    * Y_AIR_LOWER * Y_MAT_LOWER * Y_MAT_UPPER * Y_AIR_UPPER *
    0.0 0.0 0.5 1.0
    * Z_AIR_LOWER * Z_MAT_LOWER * Z_MAT_UPPER * Z_AIR_UPPER *
    0.0 0.0 0.5 1.0
    * XDIV_AIR_LOWER * XDIV_MAT* XDIV_AIR_UPPER * 
    0-30 -30  
    * YDIV_AIR_LOWER * YDIV_MAT * YDIV_AIR_UPPER * 
    0 -30 -30 
    * ZDIV_AIR_LOWER * ZDIV_MAT * ZDIV_AIR_UPPER * 
    0 -30 -30 
    * DIVISION_RATIO *   
    0.05   
    20.   
    0.05   
    20.   
    0.05   
    20.


使用データ:input.txt,四面体節点二次辺一次要素、B分割の場合
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