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 直流ブラシレスサーボモータのダイナミック解析 (SWICHの位置によるON-OFF機能)

April 2, 2007

直流ブラシレスサーボモータの解析」では、直流ブラシレスサーボモータの解析例について説明しました。そこでは、ロータの回転運動は一定で与えられたものとして、スイッチが含まれる回路との連成問題を解きました。ここでは、回転運動自体も考慮する運動連成を考えた場合の例について述べます。また、r10.1バージョンよりNetworkモジュールのSWITCHのON-OFFを位置に対して行う機能を追加しましたので、これも使用して説明します。なお、本解析を行うには、EMSolutionのDynamicモジュールおよびNetworkモジュールが必要となります。
解析体系はFig.1に示す「直流ブラシレスサーボモータの解析」で使用したもので、二次元非線形解析とします。境界条件には4回反回転周期境界条件を設定します。

Fig.1 解析モデルとメッシュ

まず、巻線電流がゼロの状態で回転子が静止する位置を考えます。回転子に外部からトルクが加わらない場合、電磁力トルク(コギングトルク)がゼロの位置に回転子は静止すると考えられます。コギングトルクの角度依存性をFig.2に示します。本資料では、角度はFig.1の位置をゼロとし、時計回りを正とします。EMSolutionの角度正方向は反時計回りであるため、位置やトルクは反転させて表示していますのでご注意ください。Fig.2から、安定な静止位置である安定平衡点(トルクが正から負にゼロを横切る角度)は±3度近辺にあることがわかります。この位置を回転子の運動により求めてみます。
初期の回転子角度を1度として、運動を連成した解析を行います。本解析は渦電流を考慮しない静磁場解析とします。Fig.3に、結果として得られた角度変動として、回転子に全く摩擦力が働かない場合( C1=0 )と、回転速度に比例する摩擦力が働く場合( C1=1.E-5 (Nm/(deg/s)) )を示します。摩擦が無い場合、回転子は安定平衡点の周りを振動しています。摩擦がないということは、ロスが無いので減衰は見られません。摩擦があると、平衡点に収束し静止するのが見られます。静止した角度3.26度は、Fig.2の安定平衡点に一致しています。

Fig.2 コギングトルク角度依存性
Fig.3 無励磁時の回転子の運動

次に、回転子が平衡安定点にある状態から巻線を励磁し、モータの始動過程を模擬します。回路系は「直流ブラシレスサーボモータの解析」で用いたものと同じです。ただし、「直流ブラシレスサーボモータの解析」では回転速度は一定として入力しており、そのためスイッチのON-OFF時刻もそれに対応させて入力しています。しかし、本解析の初期では、時々刻々速度が変化していきますので、ON-OFF時刻を入力として与えることはできません。そこで新たに、位置に対してスイッチのON-OFF時刻を与える機能をEMSolutionに追加しましたので、これを使用します。
解析では、回転子の慣性モーメントを10-5kg・m2として、一定トルク0.2Nmが外部から働いているとし、摩擦等は無いものとしました。初期位置を3.27度として静止状態から解析を始めます。解析で得られた位置、速度および電磁力トルクの時間変化を、Fig.4、5、6に示します。10msec程度で定常に達し、3800deg/s (630rpm)程度の回転速度が得られています。本結果は「直流ブラシレスサーボモータの解析」で600rpmにおいて0.2Nm程度のトルクが解析されたことと整合しています。また、定常状態では、速度変動が1割程度になっています。
以上のように、運動を連成させることにより、モータの始動時、過渡時あるいは故障時等種々な解析が可能となると考えられます。運動解析には、スイッチだけでなく、種々のばねやダンパのNetworkモジュールの回路系要素を組み合わせて解析することができます。現状では、回路系要素の中で位置に依存した特性を持っているのはスイッチのみですが、原理的には他の要素にも位置や速度の依存性を考慮した特性を持たせることも可能です。ご必要であれば、今後追加して行きたいと考えておりますので、ご要望頂ければと思っております。

Fig.4 始動時の回転子角度変化

Fig.5 始動時の回転子回転速度変化

Fig.6 始動時の回転子に加わる電磁力トルク変化



使用法


スイッチの位置に対するON-OFF時刻の入力法を、上記の始動時解析例で用いたスイッチデータの一例を用いて説明します。2カラム目に新たに、TIME_IDオプションが加えられました。TIME_ID=0(無入力可)は従来どおりの時間に対するON-OFFを表します。TIME_ID¹0の場合、TIME_IDで表される時間変化データは、ON-OFFに対するパラメータとして使用されます。時間変化データは、次の説明で示す運動方程式入力であり、運動方程式を解いた値を使用します。TIME_IDは運動方程式入力だけでなく、他の時間変化データにも適用することができます。他の入力については、従来通りと変わりません。ただし、スイッチのON-OFF時刻が位置のパラメータと置き換わります。本例では、180度周期のうち、15度から75度の間でスイッチがオンされることを示しています。
次に、上記の始動時解析の場合の運動方程式入力データを設定します。詳しくは、「EMSolution Input 18.6 運動方程式入力」を参照ください。主な入力パラメータは、以下のとおりです。

INITIAL_POSITION=-3.26度:初期位置(Fig.1で与えられる位置から時計回りに3.26度回転した位置)
POSITION_ERROR=0.1度:位置計算許容誤差
MASS=1.e-5kgm2:慣性モーメント
CONSTANT_FORCE=0.2Nm:外部からの一定トルク(反時計回り)
FORCE_TYPE=1:スライド運動で計算される回転子の電磁力トルクを使用
REGION_FACTOR=4:上の電磁力トルクをREGION_FACTOR倍して解析する。運動の解析に対しては周期性を用いないため入力



なお、Dymanic解析を行うと、計算時刻に対する位置、速度、電磁力がmotionファイルに出力されます(Fig.3、4、5)。


使用データ:
メッシュデータ:pre_geom2D.neu,rotor_mesh2D.neu
inputデータ:input_Cogging:コギング(Fig.2)解析用。
        input_Equil:平衡位置への運動(Fig.3)解析用。C1=1.e-5のとき。
        input_Static:始動解析初期値計算用。計算終了後、始動計算をリスタート計算するため、solutionsファイルをold_solutionsと変更すること。
        input_Start:始動計算(Fig.4、5、6、使用法データ入力例)用。


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